2015年6月定例会(公明党代表質問)の概要

2017年04月13日

1.外国人観光客誘客の取組の充実について

(1)円安等に伴い、外国人観光客が増加しているが、本県での外国人観光客のおもてなし環境の充実に向けてどのように取り組んでいくのか。
(2)外国人観光客の増加に向け、デジタル環境の整備は有効であると思うが、ICTの活用についてどのように考えているのか。

<知事答弁>
昨日も答弁申し上げましたが、奈良県を訪れる外国人観光客数は大幅に増加しています。
県ではこの流れを捉え、外国人観光客の誘客に向けた各般のインバウンド戦略を積極的に推進しているところです。

議員お述べの「おもてなし」環境の充実は、リピーター確保のための重要課題であると認識しています。県といたしましては、外国人観光客が、「不自由なく」、「安心」して、滞在を「楽しむ」ことができる日本を代表する観光地を目指して取り組んでいます。

具体の取り組みとして、外国人観光客への「おもてなし」の拠点として来月プレオープンを予定しております「奈良県猿沢イン」において、多言語観光案内、交流サロン、物販などのきめ細やかな諸機能の整備を図ったところです。

また、多言語表記による案内サインの充実、県内飲食店や宿泊施設等から24時間問い合わせが可能な多言語コールセンターの設置・運営、奈良公園で活動する通訳案内士の育成にも取り組んでいます。
さらに、通訳案内士や観光事業者を対象とした、外国人観光客に対するおもてなしやサービスのスキルアップ研修なども新たに実施いたします。

次に、議員お述べのICT活用に向けたデジタル環境の整備については、本年4月1日より、JR奈良駅や近鉄奈良駅から奈良公園内の主要な導線上において、無料Wi-Fiを整備しました。加えて、外国人観光客が県内を快適に周遊いただけるよう、各地域の観光施設等への無料Wi-Fi設置補助制度を創設し、整備を促進してまいります。
また、外国人ライターによる外国人目線でのSNSを通じた観光情報等の発信や、県の多言語観光WEBサイトのコンテンツのリニューアルを行うなど、外国人観光客の利便性を飛躍的に向上させたいと考えています。

今後も情報通信技術の急速な進展が予想されることから、民間事業者とも情報交換や連携を密にし、ICTを最大限に活用して、外国人観光客が手軽に奈良県の観光情報を入手できるよう環境の整備を図ります。

本県は、他の地域に負けない値打ちをもった観光地ですので、多くの外国人観光客に奈良ならではの「おもてなし」を堪能してもらうことにより、何度も奈良を訪れて、ゆっくり滞在いただけるよう努力してまいります。

 

2.地域包括ケアシステムの構築に向けた取組について

(1)本県における地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村の取組状況と、今後、県ではどのように市町村を支援し、地域包括ケアシステムの構築を進めようとしているのかについて伺いたい。

<知事答弁>
議員お述べのように、高齢者が要介護状態になっても、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、市町村が主体となって、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを構築することは、高齢化の進展が全国よりも早く進む本県における喫緊の課題と考えている。

県では、これまで、地域包括ケア推進室と保健所の連携をつくって、地域包括ケア推進支援チームを編成し、全市町村に出かけて行く支援を実施してきたところ。また、市町村長サミット等を通じて、包括ケアの構築に向けて、市町村長自らが率先して取り組んでいただくことを訴えてきたところ。

この結果、市町村の意識醸成が少しずつ進み、5市で地域包括ケアシステムの担当課が設置されるまでになった。さらには部局横断的な検討体制を立ち上げた市町村もある。
例えば宇陀市では、地域包括支援センターを核として在宅医療と介護の連携機能を一体的に行う「宇陀市医療介護あんしんセンター」を本年4月から開設し、医療と介護に関する高齢者の相談・支援を総合的に行う等、包括ケアシステムの構築に向けた具体的な動きが出ている。

地域包括ケアシステムの構築には、医療・介護といった専門職だけではなく、高齢者や地域住民等関係者が参画するのが望ましく、利用者側のニーズを汲み取りながら、それぞれの地域の実情に応じたケアの在り方を考え、構想としてとりまとめ、将来像を共有することが重要である。

このため、今年度から新たに、こうした構想づくりに取り組む市町村に対し、地域包括ケア推進基金を活用し財政的に支援することとした。加えて、地域包括ケア推進支援チームによる助言や指導を通じて、市町村の状況に応じたきめ細かな支援を行う等、市町村と連携・協働する奈良モデルの一つとして、引き続き取組を推進していく。

加えて、南和広域医療組合では、南和地域全体をカバーする南和メディカルケアジャーナルを全戸配付して関係者の意識を高め、ニーズを汲み取っていくことを提言して了承された。また、西和医療センターが立ち上げた西和メディケアフォーラムを拡大・発展させ、西和地域メディケアジャーナルを発行し全戸配付する動きが出ている。このような動きを着実に推進していくことが地に着いた地域包括ケアシステムの実現に結びつくものと考えている。

(2)奈良市平松地区において、奈良県総合医療センター跡地を活用し、県・市連携による地域包括ケアシステムの拠点づくりを進めようとしているが、奈良市とのまちづくりに関する包括協定締結後、どのように協議を進めているのか。

<知事答弁>
1 奈良県総合医療センター移転後の跡地では、広い県有地を活用して地域包括ケアシステムの拠点となるまちづくり構想の策定を進めております。この度、奈良市とのまちづくり協定において、対象地区として位置づけたところであり、県と市が連携してまちづくりに取り組む環境が整ったと考えています。

2 それに続き先月に、県と市の関係部課長を構成メンバーとする、「奈良県総合医療センター跡地活用プロジェクトチーム」を立ち上げました。このチームにおいては、まちづくりのコアとなる、医療・介護・子育て機能のほか、付帯事業となる健康づくりや交流事業のあり方についての協議を進めていく予定です。

3 このプロジェクトは現病院移転後に整備することから、概ね5~6年後のまちびらきを想定してます。そのため、5年後、10年後という将来を見据えた、先進的な取組となるよう、外部の有識者から様々なアドバイスをいただき、昨年実施したアイデアコンペでいただいた提案も参考にしながら、今後、まちづくり構想としてとりまとめていきたいと考えています。

 

3.奈良県独自のドクターヘリの導入について

県独自のドクターヘリの導入に向けて検討が続けられているが、現在の取組状況について伺いたい。また、県独自のドクターヘリ導入に関する知事の所見を伺いたい。

<知事答弁>
1 ドクターヘリは、山間部での救急医療の改善や災害医療に役立つものです。本県では、これまで大阪府と和歌山県のドクターヘリを共同利用させていただいてまいりました。本県独自のドクターヘリはまだありません。また今年度は、三重県のドクターヘリを東部山間地域においても共同利用できるよう準備を進めております。来月には三重県と協定の調印をしたいと思っております。来年2月には運航できるよう目論んでいるところです。

2 現在、本県にはヘリポートを設置している病院はありません。ドクターヘリはヘリポートが必要ですが、他県の病院に搬送されている実情です。そのため、現在、県総合医療センターと南奈良総合医療センターでヘリポートの整備を進めようとしているところです。完成後は県内のドクターヘリの需要も更に高まるものと考えられますので、県独自のドクターヘリ導入についても検討を進めてまいりました。

3 平成26年3月には、有識者や救急医療に関わる医療関係者で構成されます「ドクターヘリ導入検討委員会」から、県独自のドクターヘリを導入する場合の方向性についてご提言を頂きました。ご提言には、ドクターヘリの常駐場所は搬送ニーズの高い県南部に整備しております南奈良総合医療センターが適切だというご提言を頂きました。ドクターヘリの受入やドクターカーの運用などの実績から、県立医科大学附属病院との共同運航とすることが望ましいとされております。

4 現在、県立医科大学附属病院と南奈良総合医療センターの連携による共同運航の具体的な体制について、関係者で検討を進めているところですが、来年度、南奈良総合医療センターが開院いたします。ドクターヘリのヘリポートの利用が奈良県で初めて可能となりますので、平成28年度中の県独自ドクターヘリの導入に向けて取り組んでいきたいと考えております。

5 また、ドクターヘリを効果的に活用するには、南奈良総合医療センターでは対応できない重篤な患者を受け入れることができる高度救命救急センターのバックアップ体制を確保することが必要です。県立医科大学附属病院は9月から土日24時間ER体制の救急体制を整備して頂くことを表明され、今議会で必要な予算をお願いしているところですが、同附属病院のヘリポート整備についても、併せて検討を進めていく必要があろうかと考えています。

 

4.大和川流域の総合治水対策について

(1)大和川流域整備計画における流域対策を総合的に進め、効果を発現するためには、進捗が遅れている市町村が足並みを揃えて対策を進めることが必要と考えるが、県としてどのように取り組んでいくのか。

<知事答弁>
1.大和川流域では、昭和57年の大水害を契機に、国・県・流域市町村が連携し、流域全体で水害に強いまちづくりを進めるため、「大和川流域総合治水対策協議会」を組織し、河川改修等による「流す対策」と、ため池の治水利用等による「貯める対策」を併せて実施する総合治水対策に取り組んできました。大和川流域については大きなダムを作るというのは難しい地勢です。

2.この内、「貯める対策」につきましては、県、市町村がそれぞれ目標量を設定して取り組んでおりますが、ため池の治水利用について、目標を達成した市町村がある一方、ほとんど実施していない市町村もあるなど、その取組には「ばらつき」があり、進捗率も、平成26年度末で38%と遅れた状況にあります。

3.このため、「大和川流域総合治水対策協議会」において、私と近畿地方整備局長とで、直接、流域の市町村長に「貯める対策」が遅れている実態を示し、その促進を呼びかけました。川上の市町村ほど遅れている状況です。
また、実務者レベルでも、流域毎に「検討会」を開催し、「ため池の治水利用」による減災効果を示すとともに、「水田貯留」の啓発・普及を図るなど、市町村の取組を促してきたところです。

4.これらの結果、「ため池の治水利用」や「水田貯留」に新たに取り組む市町村が増えるなど、成果も現れてきております。
しかし、流域においては、当初想定していなかった課題も顕著になっています。例えば、①防災調整池を設置しなくてもよい小規模開発が増加していること、②ため池が減少していること、③浸水被害が発生しやすいところに家を新たに建てるケースがあること、などです。

5.このようなことから、今年度は、これらの課題解決に向け、総合治水対策を効果的、効率的に推進するための条例について検討を進めたいと考えています。
この条例では、ため池の保全や水田貯留を含む「貯める対策」や、浸水の恐れのあるエリアでの土地の使い方に一定の制約や配慮を求める「控える対策」などを定めるとともに、上下流の市町村が連携・協働し、「足並みを揃えて」取り組む仕組みについても条例の中で盛り込むことができたらと考えております。

(2)流域対策の一つとして県が平成24年度から取り組んでいる水田貯留は、どのような効果が期待できると考えているのか。また、今後の取組方針について伺いたい。

<知事答弁>
水田貯留は、水田におきまして人為的に雨水貯留機能を高めることで、下流における浸水被害の軽減や氾濫防止などの効果を期待するものでございます。大和川流域総合治水対策の「貯める対策」に資するものでございます。

具体的にどのようにするのかということでございますが、水田の排水口をコンクリ-ト製の排水桝に変更したり、流出量を抑制する調整板を設置したりするものでございます。また、通常、約10センチの低い畦畔(あぜ)を約30センチに嵩上げするなどの小工事をするものでございます。10センチからを30センチへ上げることによって、水田に貯まる水の量を増やすという、ごく単純のものでございます。

こうしたことから、県では平成24年度に田原本町の協力を得て、3.7ヘクタ-ルの水田で流出を抑制する調整板を試験的に設置をいたしました。同年8月14日の時間雨量26ミリの強い降雨において、一時的に約3,400立米を貯水できました。約4時間かけて徐々に排水して行くことで、河川への流出量が抑制されるとともに、水稲(イネ)の生育にも影響がないことが確認できたところでございます。

今年度は、奈良市ほか10市町村、50ヘクタ-ルに拡大して取り組むとともに、水田貯留を研究している近畿大学との連携により、より詳細な効果の検証も行う予定でございます。思いのほか、効果がありそうだということが解って参ったものでございます。

県といたしましても、先程も述べましたが、関係市町村と連携し、引き続き研修会を開催するなど啓発・普及に努めまして、地元農家の協力も得て、雨水の流出抑制に効果のある水田貯留の拡大に努めて参りたいと思っております。

 

5.鳥獣被害対策について

捕獲体制を強化する「鳥獣保護法の一部を改正する法律」が本年5月29日に施行されたが、これを受けて、鳥獣被害の防止に向け、どのように取り組んでいくのか。

<農林部長答弁>
議員お述べのとおり、本年5月に「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律」が施行されました。
この法改正の大きな目的は、野生鳥獣の管理という概念を法に盛り込み、増加している個体数の調整と捕獲の担い手の確保・育成を一層進めていくことにあります。

これまで県では「人材の育成」、「生息環境整備」、「被害の防除」、及び「個体数調整」を4本の柱として、総合的な鳥獣被害対策を進めてまいりました。

個体数調整の対策として、ニホンジカやイノシシの猟期の1ヶ月延長など捕獲に関する規制緩和や、メスジカの有害捕獲に対する報奨金制度などの取組を行ってまいりました。
また、人材の育成対策として、狩猟免許取得促進講習会やわな猟・銃猟安全技術向上講習会などの、捕獲の担い手の確保・育成に積極的に取り組んできたところです。

今回の法改正を受け、なお一層の取組強化を図るため、新たに創設された、県がニホンジカやイノシシの捕獲を行う「指定管理鳥獣捕獲等事業」を活用し、ニホンジカの捕獲が進まない地域での県自らによる捕獲の実施や、近年開発され効果を上げているICTなどを活用した捕獲装置の導入により、個体数調整を強化するとともに、網猟・わな猟免許の取得年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げ、捕獲の担い手確保に取り組むこととしています。

鳥獣被害には総合的な対策が重要であります。今後も引き続き県、市町村、関係団体と連携を密にし、地域の実情に応じて、4本柱の取組を粘り強く継続して進めてまいる所存です。