2017年9月定例会(公明党代表質問)の概要

2017年09月26日

1.通訳ガイドの育成と人材確保について

本県における通訳ガイドの育成と人材確保に向けて、これまでどのように取り組んできたのか。また、今後の観光戦略において、奈良の魅力に惹かれるリピーターを増加させるため、通訳ガイドに求められる資質の確保と活用の仕組づくりについて、どのように取り組まれるのかお聞きします。

【知事答弁】

1 議員お述べのように、外国人観光客に奈良の奥深い魅力を伝え、満足してもらうためには、高い語学能力だけでなく、奈良の歴史・文化の本質を理解した上で、必要な知識をもち、その本質、知識を訪問者にわかりやすく、かつ、楽しく伝えられる表現力を持ったレベルの高い外国語ガイドが必要です。これは「通訳ガイド」といった呼称をこえる能力が必要だと私は思っています。

2 そのため、県では、外国人観光客の大幅な増加を受けて、2年前から、外国人の感覚に合わせ、わかりやすく適確に、奈良所在の社寺のストーリー、歴史や本質的背景などを伝えることができる、レベルの高い外国語ガイドを育成する研修を実施しています。この研修には、通訳案内士の資格の有無に関わらず、多数の応募者から選抜した意欲ある方に参加をいただいており、これまでに約100名が受講されており、そのうち試験に合格されたのは14名おられますが、「奈良県公認ガイド」に認定しています。

3 今回の通訳案内士法の改正により、各自治体が地域独自の研修を実施することで「地域通訳案内士」を登録できるようになります。これを受けて、県内外から更に多くの意欲ある人材を集めるとともに、これまでの県公認ガイドの育成で蓄積した情報、能力を活かし、研修内容の更なる充実を図っていくつもりです。

4 また、レベルの高い外国語ガイドの県内での定着を促すには、やりがいある活躍の機会を、数多く確保する仕組みが必要です。
具体的には、奈良県ビジターズビューローと連携しまして、「連綿と続く伝統行事の文化的背景を体感できる」といったテーマ、「日本古来の自然崇拝や山岳信仰に触れることができる」といったテーマ、また、「日本文化発祥の由来を実感できる」といった、奈良でしかできない特別な体験メニューにおいて、外国語ガイドの本領が発揮できる機会を数多く創出してまいりたいと思っています。また、そのようなガイドさんがおられる奈良の地を大変好奇心の旺盛な外国人の方が訪問されることを期待しております。
このような外国語ガイドの「人材バンク」を構築し、観光客等から依頼を受けて紹介する、要求に応じて配置する仕組みを検討してまいりたいと思っております。

5 レベルの高い外国語ガイドの育成と活用を通じて、外国人観光客の地域ならではの体験を志向する、議員お述べになりました「コト消費」への流れを県内に引き込み、観光消費を増やすとともに、奈良での旅に満足してもらいたいと思っております。

【要望】

通訳ガイドの答弁については、人材バンクを設置して今後検討するというお話をいただいたので、しっかりとやってほしい。今までも非常に奈良公認の通訳ガイドというのはツアーエキスパーツということで大変レベルの高い人材育成をしていただいていると聞いている。答弁のとおり、100名の内14名が公認ということなので大変ハードルの高い取り組みを行政で進めていただいていると認識しております。これは続けていただくと同時に、また一方で、多くのインバウンドの外国の観光客にサービスをするということになるともう少し門戸を開いて、やはり地域限定型の通訳案内士の育成もしていかなければならないと思うので、併用するような形でしっかり見ていただきたいと思う。

 

2.待機児童の解消に向けた取り組みについて。

待機児童の解消に有効な施策である企業主導型保育事業について、今後、県としてどのように取組を進めていくのか。また、保育士の確保・定着について、どのように取り組んでいくのか。

【知事答弁】

本県では、平成27年4月から本格スタートした「子ども・子育て支援新制度」のもと、乳幼児期の教育や保育、地域の子育て支援の質の向上や量の拡充に努めているが、議員お述べのように待機児童が解消していない状態が続いている。
このような中、平成28年度に創設された企業主導型保育事業は、企業の人材確保や女性の活躍につながり、待機児童解消策として有効であることから、県としても、全国初の補助制度を創設して推進しているところです。
今後は、企業主導型保育事業が、本県の待機児童解消に向けて、より確実に効を奏するよう進める必要がある。そのために、市町村における待機児童の地域分布を把握するとともに、企業主導型保育の導入を計画する企業に、従業員のみならず地域の子どもも受け入れる地域枠の設定を促すなど、連携を図っていきたいと考えている。
併せて、本県では中小企業が多く、単独での設置が難しい面もあるが、複数企業の合同設置も可能であるため、これを周知し、さらなる開設を促していく。
次に、保育士の確保・定着については、保育士人材バンクにおける就職支援とともに、保育士が仕事に魅力を感じて、働き続けていただくため、キャリア形成や業務負担の軽減、処遇改善などを進めていく必要があると考えている。
県では、県内保育団体の協力のもと、平成27年度から保育士の経験年数に応じてキャリア形成を図る「認定保育士グレード研修」を全国に先駆けて実施している。また、保育士の業務負担を軽減するため、保育補助者の雇用に補助を行うなど、働きやすい職場環境整備のための取組も実施している。
また、処遇改善については、平成25年度から段階的に約10%の給与改善が図られている。さらに平成29年度からは、一定程度の技能・経験を積んだ保育士に、月額4万円の給与改善が実施されているところ。
このような取組を進めるとともに、地域においてそれぞれの実情に応じた保育事業を展開できるよう対策を講じ、待機児童の解消を図っている。

【要望】

現在、企業主導型保育事業は全国各地で進められおり、県内でも、助成決定を受けたが、まだ開設されていない施設もある。先日の新聞で、銀行内に設けた保育所において、地域の子どもも受け入れができるよう、規制緩和がなされるという記事が掲載されていたため、
今後は銀行内の保育所設置も進んでいくと思われる。
また、中小企業が合同で設置することも可能であるため、新たな設置を促進していただきたい。
一方、保育の質の確保も重要であるため、県としてもしっかりと取り組んでいただきたい。

 

3.子ども医療費助成制度について、現物給付方式の導入に向け、市町村との検討の場を設置するよう求めてきたが、現時点での検討状況はどうか。

【健康福祉部長答弁】

子ども医療費助成事業に係る基本的な考え方については、昨年度、助成対象を中学生の通院まで拡大したときと同様、事業実施主体である市町村の合意形成が大前提ということに変わりはありません。
また、議員お述べのとおり、本年度の国の見直しにより、未就学児に限って、国保の減額調整措置が平成30年度より廃止されることとなりました。しかしながら、現物給付方式の導入については、心身障害者医療費助成事業など他の医療費助成制度で導入している自動償還方式と現物給付方式の2つの方式が併用となることに伴い、医療機関での取扱方法や関係機関の電算システムの改修など、様々な検討課題が想定されます。
このため、まずは市町村間で諸課題を整理し、認識を共有化することを目的に、今年5月に奈良県市長会・町村会の主催による勉強会が立ち上げられ、そこに県も参加しているところです。
この勉強会の検討状況ですが、これまでに3回開催され、実務的な観点から、例えば(1)医療機関から市町村への診療情報の伝達方法、(2)市町村や審査支払機関での業務処理内容、(3)各市町村に導入されている電算システムにどのような改修が必要かなど、課題の洗い出しと対応方策について、県も参加して市町村とともに議論しているところです。
引き続き、勉強会において、諸課題に対する対応方策の検討を深めながら、市町村の合意形成に必要な情報や認識の共有化を支援してまいります。

【再質問】

子ども医療費助成制度について、私どもの要望書を踏まえて、市町村との検討の場を設けていただき、3回にわたり実務者レベルの勉強会を開催し、様々な課題を洗い出していただていると思います。その中で、肝心な主体である市町村間の合意形成への機運が県から見てどのようになっているのかお伺いします。
また、制度導入について合意形成が図られ、未就学児の範囲であるが、現物給付方式に制度変更がなされた場合、子育て世帯が受ける満足度、この制度改正によってどのようなことが期待されるのかをお伺いします。

【健康福祉部長答弁】

勉強会の中での市町村の機運についてですが、3回にわたり勉強会を開催いたしましたが、未就学児を対象にペナルティを廃止する国の見直しを受けて、未就学児を対象に検討を進めるという認識の共有化から始めて、その背景や課題などの整理をしているところです。
そうしたことを受けて、合意形成に向けて市町村ではどのようにお考えかということについても、これから勉強会を進めていく上で必要だと考えておりまして、意向の把握についても進めていこうと考えております。そうしたことを通して、県としても、市町村間における認識の共有化に向けて更に支援をしていきたいと考えております。
次に、現物給付方式が実現した場合の効果については、子育て世帯の経済的な負担軽減や福祉的な側面からの効果が考えられます。

【要望】

この点については、予算委員会もありますので、またお聞きしたいと思います。
合意形成に向けた必要性は感じて頂いていますし、市町村の意向の把握を今後進めていくということでしたので、しっかりと進めて頂きたいと思います。
また、子育て世帯が受ける満足度への期待も、福祉的な効果も含めて、経済的な支援等があるということでした。
子ども医療費助成は事業主体が市町村であることから、合意形成を図る必要があることは理解しております。そうした中で、北に隣接する京都府木津川市では、受給者証を医療機関に持って行けば、200円の一部負担金だけで受診することが出来ますし、南に隣接する和歌山県橋本市では、一定の所得制限はありますが、受給者証を提示すれば、一部負担金なく受診することができます。
こうした地域のサービスの格差を考えると、奈良県でも「住んで良し、働いて良し、訪れて良し」という地方創生の大きな目標がありますので、是非とも進めていただきたいと強く要望しておきます。

 

4.道路インフラの点検と老朽化対策について。

1)道路インフラの点検の進捗状況、また、老朽化対策について質問。

【県土マネージメント部長答弁】

1 平成26年7月に道路法施行規則が一部改正されて、道路インフラについては、5年に1度での頻度での近接目視による点検及びその結果による健全性の診断が義務化されるとともに、必要な措置を講じることとされたところです。

2 県が管理する橋梁は、約2千350、トンネルは約130、横断歩道橋などの大型構築物は約120ございます。その点検・診断の状況ですが、大型構築物については完了しており、今年度末には、橋梁は約8割、トンネルは約5割が完了する見込みで、平成30年度、来年度までには、すべての点検・診断を終える予定です。

3 点検に基づく診断結果を老朽化対策にどのように反映させるかでございますが、橋梁、トンネル及び大型構築物について、施設の損傷度や路線の重要度により修繕の優先順位を設定してきております。長寿命化修繕計画の策定作業を進めているところです。

4 また、これまでに点検・診断が完了した約1千350施設のうち、「早期に措置を講ずべき状態」とされたレベルⅢ判定の施設は199施設あり、そのうち30施設は、修繕を完了または実施中ですが、残る施設についても、長寿命化修繕計画に基づき、計画的に修繕を進めていきたいと思います。

5 これらの道路インフラの老朽化対策については、点検の実施、健全性の診断、診断結果の長寿命化修繕計画への反映、計画に基づく修繕の実施といったいわゆるメンテナンスサイクルがございますので、それを確実に回すことが極めて重要でございます。防災・安全交付金という国の交付支援制度がございますので、それを十分活用しながら、県内道路インフラの健康度維持に今後も着実に推進していきたいと思っております。

2)市町村の道路インフラを助けるための「奈良モデル」の取組についての質問。

【県土マネージメント部長答弁】

1 市町村が道路インフラの老朽化対策を進めるためには、市町村自らが点検、診断、措置、記録というメンテナンスサイクルを実施するのが基本ですが、財政的な面だけでなく人材的に脆弱な体制の市町村もございますので、継続して実施できる体制を構築することが必要であります。

そのため県では、「奈良モデル」の元祖となった分野でございますが、技術職員が不足する市町村を支援するため、県が市町村に代わって発注する「垂直補完」や、点検業務などの適正な発注規模を確保するため、県が仲介役となり、近接する市町村が協同で発注する「水平補完」に取り組んでいるところです。

2 例えば橋梁については、これまでに、「垂直補完」として、32市町村の橋梁長寿命化修繕計画の策定、27市町村の点検、5市町村の設計及び修繕工事を県が発注しており、また、「水平補完」としては、5市1町による3グループが協同で点検業務を発注しています。

3 さらに、県が市町村に代わって設計や修繕工事を発注する場合、当該市町村の職員を県土木事務所に派遣いただき、主体的に業務に携わることで、技術力の向上を図っており、これまでに5市町村から延べ9名の職員を派遣いただいています。

4 今後も、引き続き、「奈良モデル」として「垂直補完」や「水平補完」に積極的に取り組み、市町村を支援してまいるとともに、平成26年4月に設立した「奈良県道路インフラ維持管理連絡協議会」を通じて、市町村と情報共有や課題解決への連携を進め、オール奈良で道路インフラの老朽化対策を推進してまいります。

【要望】

近接目視について、橋梁では80%トンネルでは50%、平成30年度にはすべて完了するということで計画を聞かせていただきました。
特に、メンテナンスサイクルを回すことは一旦平成30年で終わりますが、それ以降も引き続き行うことが次世代への大きな財産の継承ということになりますので続けてお願いしたいと思います。
また、「奈良モデル」による道路インフラの維持管理のあり方についても言及いただきました。やはり、人材不足ということで市町村は点検検査をしても技術的に手が回らないという現状があります。
そうした中で「垂直補完」「水平補完」という形で「奈良モデル」としてやっていただく、特に長寿命化の策定も含めてやっていただけるという風なことを聞きましたので是非とも進めていただきたいと思います。

 

5.農業経営収入保険制度について

1)農業経営収入保険制度を導入する意義及び既存制度との相違について伺いたい。

【農林部長答弁】

1 議員お述べのとおり、現行の農業災害補償制度、いわゆる農業共済制度は、農業者が、自然災害により被った損失を保険の制度で補てんすることにより、農業者の経営を安定させ、農業生産力の発展を図るものであり、各地において設置・運営されている農業共済組合が、この業務を行っています。
現行の農業共済制度は、自然災害による収量減少が対象であり、価格低下は対象外であることや対象品目が限定的で、農業経営全体をカバーしていないといった課題があります。

2 一方で、農業の成長産業化を図るためには、自由な経営判断により、経営の発展に取り組む農業経営者を育成することが必要であります。このため国では、本年6月に農業災害補償法を改正し、品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとに収入全体をみて総合的に対応し得る「農業経営収入保険制度」を平成31年1月から導入することとしました。これにより、収益性の高い新規農作物の生産や新たな販路の開拓等にチャレンジするなど、意欲ある農業経営者の取組を支援し、農業の成長産業化を図ることとしています。

2)農業経営収入保険制度の導入による農業者の経営面への影響について伺いたい。

【農林部長答弁】

3 二つ目のご質問にお答えします。
今回の収入保険制度の導入により、初めて全品目を対象に、個々の農業者の収入に着目したセーフティネットが用意されることになります。また、収入保険制度導入後も、従来の農業共済制度が存続されることから、農業者自らの判断による選択が可能であり、農業経営のセーフティネットの選択肢が増えることとなり、農業経営の安定化が期待されます。

3)農業者がセーフティネットの選択を適切に行えるよう、県としてどのように支援していくのか。

【農林部長答弁】

4 三つ目のご質問にお答えします。
制度の導入に当たっては、農業者が適切で最良な制度を選択することができるかが重要となりますので、今後、農業者に対し、収入保険制度の内容について周知徹底するとともに、農業者が経営判断しやすいように丁寧に説明することが必要と考えます。

5 県としましても、国や制度の実施主体である農業共済組合と連携し、県が主催する会議・行事や認定農業者等の農業生産者の集まる会合等で周知を行うなどの支援を行っておりますが、今後はさらに、これまで農業共済制度の対象ではなかったキク等の花き、野菜などの生産農家をはじめ、比較的大規模に農業経営する農業者を主として、制度の理解を深めるために積極的な情報提供を行うなど周知を図るとともに、関係機関と協力して加入を促進する取組を行い、円滑な導入に向けて努めて参りたいと考えております。

【要望】

農業共済組合連合会が経営主体となるので、奈良県としての関わりは若干薄いかもしれないが、制度導入については、農業者への周知徹底をしっかりとすすめていただきたい。
この収入保険制度は、品目にこだわらず収入全体をみて総合的に対応し、複合経営につく場合のメリットも大変大きい。また、個人の収入に着目するので、個々の状況に対応した機能も有しているといったメリットがある。規模・販路を拡大したり、販売の収入を増やしていこうという意欲のある担い手にとっては有意義な制度である。新規参入農家にとってもリスクをヘッジする上で非常に期待される収入保険制度であると認識している。農業者への周知徹底に努めていただくよう要望する。