2018年6月定例会(公明党代表質問)の概要

2018年07月25日

1.ジェトロ奈良事務所の誘致について

<質問要旨>

現在、ジェトロ奈良事務所の誘致に向けて、知事を中心に積極的に取り組まれていると聞くが、現在の進捗状況及び誘致によりもたらされる県内産業界や企業への効果について伺いたい。

<答弁概要>

  • 本県経済の活性化のためには、域外交易力の強化が必要であり、ジェトロ奈良事務所の誘致もその一環として考えているところ。
  • 県外との交易状況をあらわす県際収支では、直近のデータである平成23年が、9,021億円の赤字となっており、自立的経済体制を目指す本県としては、県内企業が、国内への移出拡大のみならず、海外への輸出に力を入れることが望ましく、そのためには、身近で専門的な相談ができる環境整備が急務であると考えている。

 

  • そこで、海外展開について豊富なノウハウや海外ネットワークを有するジェトロを本県に誘致し、海外展開に熱心な県内企業をサポート、バックアップする体制整備を進めようとしているところ。
  • 現在の進捗状況は、去る4月9日に、私からジェトロ理事長に対して、奈良事務所設置の要望書を直接手渡し、現在ジェトロ本部において、検討をしていただいているところ。
  • 7月中旬には正式な回答がある予定であるが、引き続き、今秋の設置を目指し協議を進めて参りたい。

 

  • これまでの本県の海外輸出に対する取組については、海外見本市出展の支援では、検査機器、日本酒、蚊帳製品や筆、木製品などの地域産物の分野で、326件の海外バイヤーとの商談機会を提供するなど、海外への県産品の販路拡大支援、販売促進支援に取り組むとともに、輸出で成果を上げ、手本となる5社の表彰を実施。
  • これからジェトロ奈良事務所の開設を追い風にして、靴下、履物、プラスチックといった工業製品、日本酒や加工食品、柿や茶などの農産品、内装材や家具などの木製品など、強みやポテンシャルをもつ県産品の輸出が促進されるよう取り組んでいきたい。
  • 加えてオールジャパンで茶や日本酒を海外の消費者に直接PRするJFOODOの取組も本県では最大限活用していきたいと考えているところ。

 

  • また、海外から奈良への投資の誘致にも、ジェトロと連携して取り組み、海外ホテル事業者等に対して、本県のもつ観光資源をはじめとした魅力の紹介を通じて、ホテルや外国人観光客の誘致が一層進むことを期待している。

 

  • ジェトロ奈良事務所の開設により、県内企業の輸出促進支援、奈良県への対日投資支援を展開していただけることは、産業界や企業だけでなく奈良県にとって大きなメリットだと考えている。

(再質問)

ジェトロ奈良事務所を使う企業にこのことが周知されていない、ノウハウについても、規模が小さい故に周知にも至っていないこともあろうかと思う。

ジェトロ奈良事務所を活用するには奈良県がしっかりと橋渡しをしていくことが重要であるが、具体的に進めようとしているのかをお聞かせ願いたい。

≪答弁概要≫

  • 奈良県のジェトロ誘致は全国でも遅い方である。輸出をしようとする企業が増えているのは確かであり、そのような企業を助けようというところであるが、海外に売らないんだという企業は助けられない。
  • 奈良県のちょっとした食品、例えば柿であっても香港とかでずいぶん売れ筋がいい。今まで、売れるのに気づかなかった、売り出したら海外でよく売れるのがわかった。自信を持って作って売っていただく企業が増えてくればと思う。

 

  • そのために、海外の事情に詳しいジェトロにいろんな情報を教えていただくのが大事かと思う。
  • おつきあいから商売が始まると思うので、うまく円滑にしていただくように、県の産業振興総合センターを中心におつきあいの場を作り、企業の方とも、地元で顔なじみになっていただくのが大事かと考えている。

 

2.農地の有効利用に向けた取組について

<質問要旨>

所有者不明農地における貸借手続の緩和や耕作放棄地への課税の強化など、農 地利用を促進するための制度改正が行われたこと等を踏まえ、県は今後、耕作放棄地の解消や発生抑制など、農地の有効利用に向けて、どのように取り組んでいくのか。

<答弁概要>

  • 耕作放棄地率が近畿で最も高い本県にとって、農地の有効利用は極めて重要な課題だと認識。
  • 道路、遊水池、工業ゾーン、農業ゾーン造成などの重要なプロジェクトを進めるに当たっては、最大のネック・課題は用地問題であり、その解決のためには、まず土地利用の在り方そのものを検討すること、また、地権者の意識を変えることが重要である。
  • そのため、プロジェクト毎に土地利用における具体的な課題の抽出と実効性のある解決策の実施について、先般開催した県・市町村長サミットにおいても、議論を行ったところ。

 

  • 議員ご質問の農地の有効利用に関しては、(1)農地のまとまりがないこと、(2)耕作放棄地がまだらに存在すること、(3)意欲のある担い手への農地の集積が進まないこと、などが課題である。
  • その解決のためには、議員お述べの国の制度改正を踏まえつつ、意欲ある担い手の確保と、その担い手への農地の集積を図ることがきわめて重要。

 

  • これまで取組で進んだ点が多少ある。
  • まず、(1)五條市の青ネギを生産する法人や天理市における「なら担い手・農地サポートセンター」を活用した、大規模な農地集積。
  • また、(2)桜井市における、国の固定資産税重課制度を利用した、農業委員会と連携した耕作放棄地に対する重課制度の適用。これについては、他の市町村でまだ動きの無いことは問題だと思っている。
  • さらには、(3)意欲ある担い手の確保に向け、集落営農法人が、8市町村に15法人が設立されていることなど。
  • 今後とも、わずかに芽が出てきたこれらの取組を積極的に支援し、未実施の市町村に拡大をしていく必要があると考えている。

 

  • また、県独自の新たな取組として、まとまりのある農地エリアを特定農業振興ゾーンとして指定し、その地において農地の集積、また耕作放棄地の解消、農地の整備、高収益作物、特定作物の導入などを計画的・重点的に行っていきたいと考えているところ。
  • 特定農業振興ゾーンの候補地であるが、現在、広陵町、田原本町などと協議中であり、8月を目途に第1号特定農業振興ゾーンを起ち上げることができたらと思っている。
  • このような取組を積極的に進めて、豊かで魅力ある農村地域の維持、創出に努めていきたい。

 

3.大和川流域における総合治水対策について

<質問要旨>

大和川流域内の治水安全度を高めるため、「ためる対策」をより進める必要があると考えるが、流域内各地に浸水被害が多発している状況を踏まえて、今後どのように「大和川流域総合治水対策」や「奈良県平成緊急内水対策事業」に取り組まれるのか伺いたい。

<答弁概要>

  • これまでも大和川流域の浸水被害の軽減には、河川の水位を下げるための河道掘削等の「ながす対策」と流域貯留施設やため池利用等の「ためる対策」を組み合わせて実施することが有効と考え、推進してきたところ。
  • しかし、議員ご指摘のように、河川改修等の「ながす対策」には時間を要する一方で、「ためる対策」では市町村の取組に「ばらつき」があることが特徴。
  • 昭和57年の大和川大水害の際に設定した遊水地整備の目標については、進捗率は平成29年度末で56%の状況。

 

  • このような中、昨年10月の台風21号でも大和川流域内で、河川の水位上昇に伴い、合流する河川や水路の流水が流れ込めずに周囲に湛水する内水浸水被害が発生。
  • 県では、これまで以上に県と関係市町村が密に連携しながら「ためる対策」に取り組む推進体制が必要と考え、今年4月に「大和川流域における総合治水の推進に関する条例」を施行。
  • 本条例により、意欲のある支川流域の上下流市町村が県と協定を締結し、協定に基づく市町村の施策については、「奈良モデル」により県が積極的に支援をしていきたいと考えているところ。

 

  • 併せて、新たな「ためる対策」として、完璧な内水被害の解消を目標に、市町村との連携により、各支川で対策に必要な貯留施設等を適地に整備していく「奈良県平成緊急内水対策事業」を推進していくこととした。
  • 現在、県と市町村による適地候補地の抽出を進めており、抽出後は有識者の意見を踏まえて、客観的に適地を決定し、優先順位を決めながら、準備が整ったものから整備を進め、まずは、内水による床上・床下の浸水被害を5年間で解消していきたい。

(再質問)

貯留施設等の用地確保にあたって、県の役割はどのようなものと考えているか伺いたい。

≪答弁概要≫

  • 市町村との協働が大きな特徴になる。内水対策に効果のある遊水地を作れば、その分だけ減災されるのは確実である。
  • そのために効果のある適地の選定がまず必要。例えば、水が溜まりやすいところ、本川の水が多少下がったら自然流下するような場所が適地の条件だと考える。
  • 適地を探し出して客観的に評価をしていただく委員会をつくりたい。
  • 水が溜まりやすく流しやすいところを適地と考えると、地勢を見ると自ずからわかってくる面もあるので、そのような場所を選定したい。

 

4.介護人材の確保に向けた取組について

<質問要旨>

福祉・介護事業所における職員の労働環境や人材育成の向上を図るため、奈良県福祉・介護事業所認証制度が実施されているが、運用開始から1年半が経過し、現在の運用状況はどうか。また、更なる充実が必要と考えるが、今度どのように取り組んでいくのか。

<答弁概要>

  • 高齢の方々に、自宅や施設等で適切な介護サービスを安心して受けていただくには、これを支える介護人材確保の取組が大変重要となっている。
  • 県では、人材確保の重要性を踏まえ、今年度から「長寿・福祉人材確保対策課」を設置し、体制強化を図ることとしたところ。
  • 議員ご指摘の「奈良県福祉・介護事業所認証制度」は、人材確保に向けた取組の第一歩だと考えており、事業所の人材育成の取組や給与体系、キャリアパスなどを広く「見える化」することで、求職者が安心して就職できるよう、平成28年度から運用を開始し、平成29年度末までに、50法人、292事業所を認証したところ。

 

  • 認証を取得した事業者からは、「職員のモチベーション向上や就労環境の見直しに繋がった」、「ハローワークからの紹介や就職フェアなどの機会に求職者からの問い合わせ件数が増えた」との声を聞いているが、一方で、小規模な事業所からは、認証基準を満たしているか自信が持てずに、申請を躊躇しているという意見もある。
  • このため、今年度は、従業者50人未満の事業者を対象に、認証取得に向けたアドバイスなどを行うとともに、何より求職者に認証制度を知っていただくことが重要であるため、積極的な広報に努めて参りたい。

 

  • 今後は、求職者側と求人側の方々のニーズをきめ細かく伺いながら方針を練り、若者や潜在的労働力を含めた幅広い人材の参入促進、離職防止を図り、また介護の仕事が魅力あるものとなるよう、県としても知恵を絞って取り組んで参る所存。

 

5.ロボットやIoT等の県内企業の活用について

<質問要旨>

ロボットやIoT等の活用は、中小企業の成長発展・持続的な発展に大きく寄与すると考えるが、県内企業での活用状況及び今後の取組について伺いたい。

また、けいはんな学研都市や奈良先端科学技術大学院大学と本県との連携状況はどうか。

<答弁概要>

  • ロボットやIoT等の活用は、地域における中小企業の生産性向上につながる重要なテーマと捉え、取組を進めているところ。
  • 県内企業の活用状況については、他府県と同様に、中小企業での導入は進んでいないのが現状。
  • 近畿経済産業局の調査によると、「費用対効果の判断」、または「情報不足」、「相談相手不足」などが導入を阻害している要因として報告されている。

 

  • そこで、本県では、先ずはロボットやIoTを中小企業の方々にも身近に感じていただき、活用していこうという意識の醸成から進めている。
  • 今年度には、県内中小企業の方々が気軽に最新のロボットやIoTを体験し、その効果を実感いただけるモデルとなる設備を産業振興総合センターに整備することとしている。
  • 具体的には、ものを掴んで移動させる双腕ロボットや形状を手軽に測定できる3次元測定機などの機器を導入し、「単調な反復作業」や「製品の検査工程」などの自動化を試して効果を確かめることができるもの。

 

  • 次に、けいはんな学研都市や奈良先端科学技術大学院大学と本県との連携状況についてであるが、人材確保の分野では、奈良先端大で開催される学生向けの企業説明会において県内企業を紹介し、県内への就職率向上を図っているところ。
  • また、研究開発については、けいはんな学研都市で実施されているロボットやIoTに関する大型の研究事業2件に県内企業と共に参画している。
  • 今後も、本県産業の発展のため、近隣の優れた研究機関との連携を更に進めて参る所存。