2019年9月19日 9月定例会における代表質問

2020年07月02日

1 保育士の確保等について

 

幼児教育・保育の無償化の実施に伴い、保育需要がさらに高まることが懸念されるなか、保育の現場を支える保育士の確保、定着あわせて資質の向上が重要と考えるがどうか。

 

(知事答弁)

全国的にも、また奈良県でも保育士が大きく不足しているなか、議員お述べのとおり、保育の現場を支える保育士の確保・定着と、資質の向上は大変重要と認識しています。

県ではこれまで、保育士の確保・定着対策として、保育士人材バンクの設置や処遇改善などに取り組んできました。しかし、本県における保育士の有効求人倍率は年々上昇しており、求人の多くなる1月でみると今年は3.55倍と高い水準で、保育士の確保が難しくなっています。平均勤続年数も全産業の12.3年に比べ8.3年と短く、早く離職する傾向にあります。

そこで今年度から、修学資金・就職準備金の貸付制度の創設や、若手保育士の離職を防止するため、アドバイザーの巡回相談を開始するなど、対策を拡充しています。

保育士の確保・定着の難しさは、市町村においても同じような悩みがあり、そのため今年度、市町村とともに「待機児童対策協議会」を立ち上げ、保育士の確保・定着に有効な広域での取組等について協議を始めました。

例えば、県内で働く保育士の子どもは、入所できる保育所は居住地の市町村だけではなく、他の市町村の保育所にも優先的に入所できるよう、市町村間で調整し合う仕組みや、ICT導入による業務負担の軽減等の取組について検討を始めています。

また、保育士の資質向上のために、保育士キャリア認定研修を全国に先駆け開始し、今年度からは経験や職責に応じたキャリア構築を支援するため、研修の拡充も図ったところです。加えて、幼稚園、保育所、認定こども園といった施設類型に関わらず、就学前の子どもに質の高い保育、子どもの育みができる人材の育成にも取り組みます。

本県において、保育士の確保・定着と資質の向上は、極めて重要なテーマだと思っています。少子化対策にも資するこのような取組に対して、全力であらゆる知恵をしぼって対応策を考えたいと思っています。

乳幼児期は人格形成、とりわけ自尊心・他者への愛情を育む重要な時期であるとの認識のもと、子どものより良い育ちのため、保育の質の向上にも取り組んで参ります。

 

 

2 中小企業等に対する事業承継支援について

 

中小企業、小規模事業所の事業主が高齢化し廃業が進むなか、事業承継への支援が重要と考えるが、県はどのように取り組んでいるのか。

 

(知事答弁)

日本経済を支えてきている中小企業や小規模事業者において、経営者の高齢化が進んでおり、後継者難から、これまで培われてきました技術の水準維持が困難になり、雇用も失われるケースが増えてきております。そのような観点から、事業承継の円滑化は、喫緊の課題であると認識しております。

本県では、事業承継を支援するため、(公益財団法人)奈良県地域産業振興センターが事務局となり、平成30年度に県、商工団体、金融機関など73機関が参画する「事業承継ネットワーク」を立ち上げました。

この事業承継ネットワークの昨年度の実績として、国から示された事業承継診断件数の年間の目安である437社を上回る1千037社、目標の約2.5倍の診断を実施いたしました。

その中から個々のケースに合わせて、議員もお述べになりました特例事業承継税制の説明や特例事業承継計画策定のご支援、ネットワーク参画機関の中で強みのある支援機関や専門家へのご紹介、橋渡しといった具体的な支援を497件行ったところでございます。

事業承継をされる相手方は、子息も含めたご親族の場合、親族外で従業員の場合、親族外で第三者の場合の大きく3つに分かれると思います。

その比率を全国調査と奈良県ベースの調査の差を比較してみました。奈良県では親族への承継は約88%、9割が親族への承継でございます。一方、平成28年の国の調査を見てみますと親族への承継は約67%で、20ポイントも差がございます。奈良県は親族への承継の実績が多く、また、事業者の方も親族への承継の期待が強いのではないかと思われるところでございます。

親族以外の承継の中で、従業員への承継が全国と本県では大きく違っております。奈良県では、承継の中の4%程度が親族以外の従業員への承継になっておりますが、国ベースの調査では30%もが従業員への承継となっております。以上の傾向をさらに分析をして、奈良県の事業承継のやり方についての研究を深めたいと思っております。そのため、今年度は先ほど申し上げました「事業承継ネットワーク」の周知と活動を昨年以上に強化したいと思っております。

また、事業承継に向けた企業の経営課題の整理など、個々の企業に寄り添った支援を強化していこうと思っております。今年度は7月末までに事業承継診断が356件、支援が129件という状況でございます。承継問題を抱えておられる企業や経営者が、奈良県では多いことをうかがわせるものでございます。

事業承継支援は時間のかかるものでございます。親族の方など、複雑な関係がある場合もあろうかと思います。一方で後継者候補が見つかった案件や、企業買収・合併(M&A)の話が進行している案件など、新しい形での支援の成果が出てきているように思われます。

また、診断や支援だけでなく、日頃から(公益財団法人)奈良県地域産業振興センター、経済団体、金融機関において、事業承継の相談に幅広く応じていただいているところでございます。

例えば、商工会や商工会議所においては、事業者に対するセミナーや専門家による個別相談会を開催するなど、事業者に寄り添った支援に努めていただいております。

経営者の高齢化が進む中、国における事業承継税制の制度拡充等の支援制度もしっかりと活用していただきたいと思います。関係機関や団体の連携を図りながら、頑張ってこられた企業や事業者が後継者問題を解決されますよう、引き続き、事業承継のご支援に取り組んでまいりたいと思っております。

 

 

3 農福連携について

 

農業分野の担い手の確保や障害のある人の就労の機会を増やすために、農福連携の取組は重要と考えるが、国では農福連携の広がりの推進として、高齢者や生活困窮者などへの就労・社会参画支援も視野に入れており、これが実現すれば更にユニバーサルな取組になると考えるがどうか。

 

(西川福祉医療部長答弁)

農福連携は、これまで障害のある人の農業分野における活動を通じて、障害のある人の就労機会の拡大や工賃向上を図るとともに、農業の労働力確保に寄与するものとして、全国的にその推進が図られてきました。

本県においても、県内177の就労支援事業所のうち、47の事業所で農業生産活動を行っており、中には、専用設備を活用したイチゴの栽培や大規模なコメの生産などの事例も出てきています。

また、酪農家が長年にわたり多くの知的障害者を雇用している事例もあります。

議員お述べのとおり、国では今年6月に「農福連携等推進ビジョン」が決定されました。このビジョンでは、今後の農福連携の展開として、林業や水産業の分野にも広げること、また、高齢者や生活困窮者などに対する就労・社会参画支援、犯罪をした人の立ち直りに向けた支援への広がりを推進することで、地域共生社会の実現を目指す方向性が示されました。障害のある人の農業分野における活動の経験を活かし、活動の範囲や対象とする方々を広げていくことは意義のあることだと思います。県では刑務所出所者等の就労の場づくりにおいて、農業や林業を出所者等が従事する業務の一つとして検討を進めており、国のビジョンで示された連携展開の一例になると考えます。

このような更なる展開を含めた農福連携の推進を図っていきたいと思っていますが、異なる分野の連携を進める上では、現場において課題を発見し、それを解決して、成功事例を積み重ねることが重要であり、現場における実態をよく把握し、良い取組を伸ばしていく、また、そうした取組を広げていきたいと考えています。

 

 

4 消費税率引き上げに伴う消費の落ち込み対策について

 

(1)消費税率の引き上げに伴い、消費の落ち込みが懸念されるが、市町村が実施する地域の消費喚起につながる取組を支援する「もっと良くなる奈良県市町村応援補助金」について、現在の執行状況を伺いたい。

 

(地域振興部長答弁)

「もっと良くなる奈良県市町村応援補助金」は、消費税率の引き上げによる消費抑制により、地域活力が低下することを防ぐため、市町村が実施する消費喚起につながる取組を支援することを目的に創設いたしました。本年度、当初予算と6月補正予算に、それぞれ2億円、合計4億円を計上しています。

補助事業の具体的内容は、各市町村が地域の実情に即して実施する消費喚起につながるハード事業及びソフト事業に対し、事業費の2/3を県が補助するものです。

これまで、第1次分として、8月上旬に19団体25事業、1億8千万円余について、交付決定を行いました。9月下旬には、第2次分として22団体43事業、1億3千万円余の交付決定を行う予定としております。また、引き続き、追加募集も行って参りたいと考えています。

この補助金の活用事例を紹介させていただくと、大和郡山市における、地元イチジクを使った、新しい特産品としてのワインづくり、御所市における、商店街の空き店舗を活用した起業者支援、十津川村における、空中散歩を楽しめるアスレチック施設の整備、などがございまして、それぞれの市町村の実情に応じて、地元の特産品を活かした販売力の向上や地元商店街の活性化、域外からの集客効果などが期待できる取組が進められています。

県としては、この補助金を活用した各市町村の取組により、地域での消費が喚起され、活性化が図られることを期待しています。

 

 

〈更問〉

審査項目にストック効果もしっかり見ていくという内容もあったかと思うが、単年度の支援にとどまらず、市町村がしっかりと事業を継続してやっているところを検証していくことも必要だろうと思うが、県としてどのように見守っていくのか。

 

(地域振興部長答弁)

議員お述べのとおり、持続可能な形になってほしいと思っている。普段、市町村といろいろな情報交換を進めているので、その中で、事業の効果、今後の推移について、しっかりと見守っていきたいと考えている。

 

(2)インバウンド誘客を促進することが、県内消費の拡大につながると考  えるが、県ではどのように取り組んでいるのか。

 

(観光局長答弁)

インバウンドの経済効果について、例えば、観光庁は、2016年の定住人口1人あたりの年間消費額は、インバウンド8人分に相当するという試算をしています。

本年10月に予定されている消費税率引き上げに関し、他の地域の消費を減少させることなく、奈良が有する資源を活かしながら地域活力の低下を最大限防ぐためにも、本県のインバウンドの取り組みを加速し、消費の拡大につなげていくことが重要と考えています。

明日9月20日に開幕するラグビーワールドカップ大会では、外国人観光客は40万人に達する可能性があると見込まれており、県として、こうした外国人観光客に対する宿泊キャンペーンを新たに実施し、インバウンド宿泊需要を取り込むとともに、宿泊施設とその地域におけるインバウンド対応を促進することとしています。

併せて、上質なホテルや民泊サービスなど宿泊施設の質と量の充実を引き続き図るとともに、Wi-Fi環境、キャッシュレス環境、観光地への移動円滑化など、受入環境の整備等に対する支援を充実し、市町村や民間事業者等のインバウンド対応を支援しているところです。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、2025年の大阪・関西万博の開催を見据え、イギリス大英博物館での奈良の仏像展示をはじめ、本県が誇る歴史文化資源を戦略的に活用し、奈良の奥深い魅力を海外に向けて強力に発信しているところです。

さらに、こうした取り組みを進めるための土台づくりとして、観光に関するデータの分析・調査や、県と市町村の連携・協働による面的な観光まちづくりを進めるなど、インバウンド施策を総合的なパッケージとして、引き続き戦略的に展開してまいります。

 

 

5 地域防災計画の改定について

 

奈良県地域防災計画が2年ぶりに改定されるが、今回見直すこととなった背景は何か。また、改定の中で、県が特に重要視しているポイントについて、あわせて伺いたい。

 

(危機管理監答弁)

奈良県地域防災計画の改定は、昨年、くり返し発生した大きな災害が契機になっています。

中でも、平成30年7月豪雨では、西日本を中心に200名を超える方が亡くなる甚大な被害が発生しました。

「奈良県で同じような豪雨がきても、死者が出ないようにしたい。」との思いから、県では、この豪雨災害を教訓に防災対策を検討し、本年4月に水害・土砂災害に備えた「奈良県 緊急防災大綱」として取りまとめたところです。

地域防災計画の改定にあたっては、この緊急防災大綱の内容を反映させてまいります。さらに、昨年の7月豪雨や大阪府北部地震等の災害における被災自治体の経験・教訓に加え、国の防災基本計画の改定内容なども取り入れてまいります。

改定のポイントとして、①避難行動・避難生活、②情報発信・リスクコミュニケーション、③要配慮者、④救急救助・医療、⑤防災拠点、⑥ハード対策、⑦住宅・建築物の耐震化、⑧南海トラフの8項目を挙げています。

それぞれの課題は何か、それらをどのように克服していくのか、という観点に立って、庁内全部局で検討を進めているところです。

また、検討の過程において、7月と8月の2回にわたり、関西大学社会安全研究センター長の河田惠昭教授を座長とする、6名の学識者で構成された奈良県地域防災計画検討委員会を開催いたしました。

災害時に、役立つ実効性のある計画となるよう、専門的見地からの指導・助言をいただいたところです。

今後、国、市町村、関係機関との意見交換・議論を重ねまして、検討を深め、「災害に日本一強い奈良県づくり」に資する計画としたいと考えています。

 

 

 

 

 

6 子どもの学力・体力向上について

 

奈良県の児童生徒の学力、体力の向上のため、県教育委員会としてどのように取り組んでいるのか。

 

(教育長答弁)

本県児童生徒の学力や体力の向上のためには、全国調査の結果を詳細に分析し、エビデンスに基づいて教員一人一人が指導の充実や改善を図ることが重要です。

今回の学力・学習状況調査の結果を分かりやすく全国順位で申し上げますと、国語で小学校45位、中学校32位、算数・数学で小学校19位、中学校26位、初めて実施された中学校英語で13位でした。特に、今回、小学校国語の学力に大きな課題が見られたことから、現在、県教育委員会が有するデータから有用なエビデンスを導き出しているところです。

現時点で判明しているものを申し上げますと、小学校国語の正答率上位と下位1000人の児童を比較したところ、「課題の解決に向けて、自ら考え自ら学習に取り組む」と答えた児童は上位層で約9割であり、下位層では約5割にとどまっています。また、上位層の児童の6割以上が「読書が好き」と答え、1日の読書時間も長い傾向にあります。こうした結果を11月に開催予定の教育サミットで市町村と共有し、各学校においても主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)を実現する授業改善、また、家庭を巻き込んでの読書活動の推進に取り組んでいただけるよう県教育委員会として支援してまいりたいと考えています。

一方、本県児童生徒の体力は、全国調査において、平成30年度は男子が小学校31位、中学校13位、女子は小学校35位、中学校27位であり、調査開始当初の小・中学生ともに40位台の低位な状況から脱却しております。具体的取組として、小学校では運動習慣の確立を図るため、外遊びの推奨や記録会、スポーツ教室などを開催するとともに、教員の指導力向上を図るための研修会等を充実させております。また、中学校では、専門性のある部活動指導員を配置するなど、合理的かつ効率的な運動部活動の推進を図っています。

今後は、特に課題である女子における運動嫌いを減らす取組や、子どもの体力向上に当たっては、心身のバランスのとれた発達が重要であるため、健康の3原則である「運動、休養・睡眠、食事」の徹底に向け、家庭・地域と連携した取組を進めてまいります。